松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



バンクシー

バンクシー展に行ってきました。








メッセージ性の強い風刺画で世間を魅了するアーティストですが、モラルやマナーの点で評価されていいものかどうか。それがとても疑問です。




というのも、悪く言えば多くの作品が所有者の許可なく壁に落書きを描いたものだからです。




アーティスティックであるが故に、だいたいはお咎め無く賞賛されていますが、もし私が壁に落書きを描いたならば、大きな罰を受けることとなるでしょう。




そう言いながらも私は以前からバンクシーの作品に魅了されていますので、この言い分も全く芯が通っていません。




知っている作品が多く展示されていましたが、全然知らない作品も多く見受けられました。




写真撮影が可能でしたのでたくさん撮ってきましたが、まだの方のために掲載は控えさせていただきます。




一点だけ、私がバンクシーの作品で一番好きなものを掲載させてください。








こちらです。




実際にはホテルの部屋の壁面にペイントされているものです。




テロリストと警官が枕で遊んでいる姿がデザインされています。




本来なら武器を持って敵対する両者が、枕で叩き合い遊んでいるさまは、見る側に微笑みと平和を連想させるものであります。




「平和っていいなぁ。世界中の人たちが争いを無くして仲良く過ごせたら、なんて素晴らしい事だろう。」




そんな風に考えさせられます。




何度みても胸を打たれます。




バンクシーのやっている事は罰当たりなことなのかもしれませんが、「やっぱりすごい!」と思います。




うーん、悩ましい。。。

なおい茶会

おはようございます。




国府宮神社のはだかまつりが静かに終わり、本日は「なおい茶会」の日を迎えました。




ご用命を受け、州浜製の干菓子を仕上げてお届けにあがったところです。








州浜とは大豆由来の粉と砂糖、そして飴を練り合わせて仕上げたものであります。




最後に和三盆糖にまぶして、味わいにもう一つアクセントを加えました。




味わいにも深みが出るものであり、納得いく出来栄えであると感じています。




この州浜製の干菓子、松屋長春でも販売いたします。




ご購入ご希望のお客様におかれましては、店頭にてお申し付けくださいませ。




州浜のわらび、京都「末富」時代に私が習ったものを改良しました。




私にとって、とても思い出深き和菓子の一つであります。

私が和菓子に生クリームやフルーツを使わない理由

「最もクラシックな和菓子」








そう形容できる薯蕷製の蒸し菓子がお店に並びました。




織部のデザインに蕨の焼印を施してあります。




和洋折衷。




例えば生クリームやフルーツを入れた和菓子は自分や家族やパートさん用につくって食べる事があるのですが、とても美味しくて、それはそれで「おやつ」として素晴らしいものである事は間違いありませんが、それは父や私の考えとはまた違ったところにあります。




私が勉強した京都の「末富」の大旦那さんも和菓子の王道をとことん追い求めた方で、修行中もその考えをしっかりと叩き込まれました。




「和菓子のお店には様々なかたちがある。御菓子屋、朝生屋、餅屋などがそうだ。君たちは御菓子屋になりなさい。和菓子それぞれには意味があるのだ。四季を感じられるもの、一年の行事につきものの菓子など。必ず和菓子には意味があり、つくる和菓子には意味を持たせなければならない。志を高く持ってプライドを持ちながら頑張りなさい。決しておやつ屋にはなるんじゃないぞ。」




何度も何度も聞かされました。




今でも自分の胸にしっかりとその考えを留めながら仕事をしています。




自分の和菓子職人としての役割についていつも考えていますが、




「和菓子とはなんぞや?」




これをしっかり追求しながら、お客様にも和菓子の知識を深めていただくことがとても大切であると思います。




このブログでもご紹介した和菓子の意味、由来などを書いているのはそんな理由からであります。




前衛的な和菓子職人ばかりでなく、こんな頑固な考えの職人がいても面白いのではないでしょうか。




和菓子の伝統を守るべく、レールにしっかりと乗った和菓子をつくりながら、これからも和菓子の意味や由来をこのブログにて記していきたいと思っています。