松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



きのめ






我が家で育てている山椒の木の若葉が、だんだん増えてきました。




このタイミングで一番柔らかい若葉だけを摘み採り、木の芽薯蕷をつくりました。




素晴らしい香りがこの蒸し菓子に乗り移っています。




春から初夏にかけての松屋長春定番和菓子です。




今年は娘が摘み採りました。








綺麗な手だこと。








自分のしわくちゃの手が嫌んなります。

よしこさんと私をつなぐもの

以前にもこのブログで書きましたように、私は祖母が大好きで大好きでたまりませんでした。




「おばあちゃん」などと呼んだことはなく、ありったけの愛情を込めて「よしこさん」と呼んでいました。




祖母と孫というよりも、また違った特別な関係があったように思います。




私は小さい頃、毎日乳母車に乗ってよしこさんとおさんぽに出かけるのが日課でした。




ガラガラゴロゴロとよしこさんが押す乳母車の上で、よしこさんの方を向いておはなししながらのおさんぽが私にとって一番大好きな時間でありました。




乳母車って今、滅多に見かけなくなりましたよね?私よりも年齢の若い方はご存知ないかもしれません。




今こそベビーカーではなく、乳母車がカッコいい!乳母車に子供を乗せて散歩しよう!そう思うのは私だけでしょうか。




先日、こんな火鉢を見つけました。








綺麗に洗ってから、まじまじと見つめ、ハッと思い出しました。




これが、よしこさんが大事に使っていた火鉢だったことを!




よしこさんがいつもこの火鉢の近くにいたことを!




気づいた瞬間、自然に涙が溢れて止まらなくなりました。




「よしこさん、おさんぽ連れてって」




「はーい、ゆうちゃん。お出かけしましょうね。」




あの幸せだった優しい時間が一瞬でよみがえりました。




綺麗になった火鉢を裏向けてみますと、こんな文字が記してありました。








創業から二十年後に現在の松屋長春の建物、場所になったのですが、その新築記念にこの火鉢が我が家にやって来たのです。




木型や書類などに創業者である祖父の痕跡は多く残っていますが、祖母と私を繋いでくれる道標はほとんどありませんでした。




そんな意味でも、私にとって嬉しい発見となりました。




よしこさんの思い出の火鉢。この先、私が火鉢として使うことはないでしょう。




私が責任持って大事に大事にこの火鉢を役立てたいと思っています。




できたらお客様の目に留まる場所に置きたいな。




「ゆうちゃん」




私にいつも寄り添ってくれたあの優しい声が近くに聞こえるように。

ガンバル!

今日、お客様から可愛いお手紙をもらいました。








松屋長春のお客様の中で最年少なのかもしれません。




本当にありがとう。とってもとっても嬉しいです。




あなたのおかげでやる気がフツフツと湧き上がってきました。




松屋長春で働く全員を突き動かす原動力はお客様の笑顔だけであります。他には何もありません。




「綺麗な和菓子ねぇ」




「とっても美味しかった!」




「気持ちのいい接客でした」




などと、私たちの励ましとなるお言葉を頂戴するたびに




「ああ、頑張ってきてよかった。また頑張ろう!」




と力がみなぎってくるのです。




ガンバル!を与えて下さっているお客様全てに感謝します。




いつも私たちの心を支えていただいているお客様に私たちの思いがいっぱい詰まった和菓子をお届けすることが、私たちの最高のお客様へのお返しであると考えています。








4月26日を最後に12日間休み無く突っ走りましたが、明日明後日と連休を頂戴します。




ホッとひと息。




身体のケアをしながら、いつも仲良くしてくれる友人たちに会ってしっかり心の洗濯をし、また元気な姿で水曜日みなさまをお出迎えできるようにしたいと思います。




みなさま、いつも本当にありがとうございます。