松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



木型

干菓子の打物に絶対に欠かせない道具。それば木型です。




先日絶滅危惧種の話を書きましたが、この木型の職人さんも現在絶滅の危機に瀕しています。




話に聞くところによりますと、全国で10人いるかいないか。それもご高齢の域に達していらっしゃる方がほとんどだそうです。




春の打物を少し打ちました。




左から蝶々、あやめ、水紋、つくし。




















木型は彫った職人さんの癖とい言いますか、特徴がはっきり出ます。




あやめは祖父が松屋長春の創業時に買い求めたもの。当然どんな職人さんが彫ってくれたのかは知りません。




蝶々と水紋は私の先輩のお店(栃木県のとらや弥生)の近くにお住まいだった職人さんに特注したもの。先輩から聞いたのですが、残念ながらその職人さんは亡くなられたそうです。




余計に大切に使っていかなければと思っています。




そしてつくしはついこの間私が買い求めたものです。




手にとってみますと、木型そのものの形も違えば実際に型打ちして出てきた干菓子の特徴も違います。




それが職人さんそれぞれの味となって出てくるのです。




これから先、新しい木型を買い求める事がどんどん困難になってくると思います。




今のうちに後世までしっかりと残るような素晴らしい道具をもっと揃えていかなければならない。そう考えているところです。




日本が誇る素晴らしい職人は各方面で活躍されていると思いますが、絶えてしまうことのないようにしっかりと繋いでいって欲しいものです。




私も和菓子職人のハシクレとしてそんな風に考えています。




松屋長春というお店も息子や娘、そのまた先の孫へと続いていけるよう努力を続けなければなりません。