松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



すりみつ

「すりみつ」ってご存知でしょうか?




「すりみつ」は漢字で「擦り蜜」と書きます。




漢字が示す通り、蜜を擦って真っ白に仕上げます。




よくお煎餅の表面に真っ白な蜜がパラパラと付いていますよね?それが「すりみつ」と言われるものなのです。




和菓子業界でもやはりお煎餅の表面にハケでパラパラとバラ引きする事に使ったり、あん玉の表面にコーティングをかけて所謂「松露」という和菓子に仕上げたりというのが定番の使い方ではなかろうかと思います。




私の修行先である京都末富でも同じようにお煎餅や松露用として大量につくっていました。




私も末富で習ったものを忠実にと気をつけながら今でもつくり続けています。




つくり方はお砂糖と水を銅鍋で煮立てて冷まします。しっかり冷めたら綿棒でしっかり擦ります。一度固くなりますが、もう少し擦り続けていくと滑らかな純白の「すりみつ」が完成します。












つくる際の一番重要な事は火を止めるタイミング。このタイミングが非常に難しく、回数を重ねてしっかりと身につけないとなかなか再現性というものは保たれません。




簡単につくり方の手順を書きましたが、とてもデリケートでその上手間と時間が非常にかかるものです。




今回も素晴らしい「すりみつ」が完成しました。




この「すりみつ」は松屋長春では「波の華」という菓子に使います。




「波の華」を手に取られた際には是非「すりみつ」にも目を向けてください。




非常に手間がかかる和菓子です。ですので私にとっては余計に思い入れが強い和菓子でもあるのです。

ひのよーじん

息子が地元の消防団に四月から入団しました。








息子がお世話になる「稲沢市消防第一分団」は私も所属していた団であり、ちょうど息子と同じくらいの年齢の時に私も入団しました。




消防団には「市民の身体、生命、財産を守る」という崇高な任務があります。




これからしっかり訓練を積み重ねて、有事の際には存分に力を発揮できるよう精進していってほしいと思っています。




私が強く息子が消防団に入って欲しいと思った理由が一つあります。




息子は栃木県で生まれ育ちました。家族の一員となって一年も満たないのですが、当然こちらには知り合いもいなければ友人もいません。




消防団に入ったことによって多くの知り合い、友人が出来て家族とはまた違った心の拠り所をつくってほしいと切に願っていたからです。




私の友人たちもまだ多く消防団には残っています。




彼らの温かい懐に飛び込んでどんどん馴染んでいって欲しいと心から望みます。




息子よ、入団本当におめでとう。消防団のみんな、息子の事をどうぞどうぞよろしくお願いします。




では、声高らかにまいります。




「火の用心っ!ひのよーじんっ!」

はるのうた

ポップに、カラフルに。




ウキウキワクワクするような春をイメージしてつくりました。








軽羹製の蒸し菓子です。中は丹波大納言小豆の粒あん。




随分あたたかくなってきて、春を迎えた幸せを肌で感じるようになってまいりました。




人間は面白いもので暖かくなると活発に動き回りたくなるものですし、やはり日光にもあたりたくなるものです。




動物たちや植物たちもいっしょ。




ちょうど今。「やっとこの季節がやってきたのだ!」と両手を挙げて喜ぶときなのです。