松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



季節とともに

薯蕷製の蒸し菓子「春かすみ」のご紹介です。








先日の茶席菓子と名前も意味合いも重なってしまいますが、松屋長春の春の定番和菓子でありますので、あらためてご案内させてください。




この時期。遠くの景色がまるで薄雲がかかったような景色になることがありますが、それを「春かすみ」と言います。




そのような様を薄桃色のぼかしや焼きごてで表現しています。




季節毎につくる定番商品に向き合いますと




「ああ、今年もそろそろこんな季節がやってきたのか。。」




と、肌感と言いますか、感覚的に体内時計が反応して少し感傷的になったりもします。




季節とともに歩みを進める仕事に就いていることに、幸せを覚える今日この頃です。

じーん

映画「みをつくし料理帖」を観ました。








生き別れになってしまった幼馴染の事をずっと心に残したまま、大阪から江戸へやってきた主人公。




「雲外蒼天」と言われる主人公が料理に真剣に取り組み、いくつもの大きな苦難を乗り越えながら成長してゆく様を優しいタッチで描いています。




多くの場面でたくさん泣きました。




私は職人でもあるのですが、毎日の食事づくりという役割も担っています。




そのような理由からこの映画を観ようと選んだのですが、思いがけずこんな素晴らしい良作に出会えました。




心がじーんと温まり、観終わった後で非常に気持ちの良い余韻がずっと残ります。




私はやっぱり人情味のある映画が好きなんだと、あらためて気付かされました。

本日の菓子

本日は国府宮神社の月釜の日。




茶席菓子は軽羹製の生地。備中白小豆のこしあんをうすべに色に染め合わせ、春を存分に感じていただけるようにイメージしてつくりました。








頂には二本筋の焼きごてを施し、目視でなんとか確認できるくらいの控えめに銀箔をあしらっています。




「春霞」との銘を担当の先生から頂戴しました。




本日13時半くらいから松屋長春店頭でも販売をする予定です。