松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



恵まれた修行時代

私の京都の修行先「末富」。




そこで一緒に学んだ先輩が遊びに来てくれました。








彼は北鎌倉駅すぐ近くにある和菓子店「こまき」を営んでいます。




超が付く有名店なのでご存知の方も多いかもしれません。




樹木希林さん主演の映画「日々是好日」の劇中に出てくる和菓子たちは全て先輩が手がけたものであります。気になられた方は是非映画をご覧ください。




私たちは寮生活をしながら「末富」で勉強させてもらっていたのですが、今では絶滅危惧種となってしまったいわゆるタコ部屋に住んでいました。




彼が下、私が上。2段ベッドで寝泊まりしていました。(同じ部屋にまだ他の2段ベッドがいくつもあるような大きな部屋で。)




私は今も昔も変わらず自分に甘く優しい、そんなユルい人間ですが、彼は真面目な優等生。時には優しく時には厳しく、多くの事を学ばせていただきました。




前回会ったのはいつだったのか忘れてしまったほどでありますが、こうして会うと面白いものであの頃の情景がパッと鮮明に蘇ります。




修行というものは非常に辛く苦しいもので、弱い私にとっては耐えがたい時間でありましたが、昼夜をずっと共に過ごした彼の時折見せる辛苦の一瞬の表情を垣間見た時に




「俺だけじゃないんだ。」




そう少しばかりの安堵感を覚えた次第です。




よく「同じ釜の飯を食う」と言いますが、私には多くの苦楽を共にした先輩後輩たちがいました。




彼らが私にとって大きな支えとなった事は言うまでもありませんが、彼らが近くで頑張っていてくれたからこそ私も最後までやり通せたのだと思っています。そうでなければ早い段階で潰れてしまっていたのだと思います。




私は修行仲間全員に引っ張ってもらいました。




私は本当に良い修行仲間に恵まれたのだとあらためてそう感じているところです。




仕事が落ち着いたら一度修行仲間で申し合わせて集まろう。そう約束して別れました。




ちょうど今、一年で一番多忙な時期を私は迎えております。寝る暇を惜しんで毎日仕事をしなければなりませんが、先輩に会えた事で俄然やる気が出てきました。




これも先輩のおかげであります。