松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



青む葉に目を向ける

桜は先に花が咲き、花が舞い散る前に葉が芽を出します。




完全に桜花が散り去って、花筏となる頃には優しい色合いをした若葉が陽の光を浴びてぐんぐんと育つようになります。




非常に短い間に目まぐるしいほどの変化があるので、いつも興味深くその姿を観察するようにしています。




和菓子屋が使う桜の葉はソメイヨシノではなく大島桜。




伊豆大島が発祥ではないかもしれませんが、伊豆諸島に分布する桜の野生種であります。




葉が大きく育ってきたところで摘み取り、一年近く塩漬けにしたものを桜餅に使うのです。




松屋長春では夏場にまだ漬かりの浅いものを特別に仕入れ、「葛桜」に使うので、一年で2回に渡って大島桜にはお世話になることになります。




桜餅が終盤を迎えておりますが、昨年漬けてもらった桜葉が抜群の出来栄えでした。








来年も素晴らしい桜葉ができる事を期待したいと思います。




桜はどうしても花にフォーカスされがちですが、和菓子職人である私は花が散った後に青む葉たちにも注目しているのです。