松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
しののめ
先人たちは夜明け(明け方)を細かに分けていました。それもそれぞれに名前をつけて。
明るくなるかならないか、そんな時分のことを「暁(あかつき)」と呼びました。
次は「東雲(しののめ)」。なんだか感じが出ていますよね。東の空の景色が思い浮かぶようです。
最後に「曙(あけぼの)」となります。清少納言が書いた枕草子に記されている春はあけぼのはこの時分のことを指しているんですねぇ。
春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬は早朝が良いというのは現代人にも共感できる感覚であると思います。
前置きが長くなりました。
何日か連続で干菓子の事をご紹介してまいりましたが、本日が最後となります。
白雪糕が出来上がりました。先日試作品として載せたものです。やはりあの色合いで決めました。
前述しました夜明けの姿をこの小さな白雪糕で表現したものです。
敢えて一番聞く事の少ない「東雲(しののめ)」と銘を付けさせていただきます。

干菓子の詰め合わせも徐々に完成へと近づきました。本日より販売スタートできると思います。


経験と技術
松屋長春の「四季彩せんべい」が美しく出来上がりました。
おぼろ種を真ん中で割り、特別につくった備中白小豆のこしあんを挟むのですが、均等に縁まであんを入れるのが至難の業なのです。
経験と技術が必要なんですよ。簡単そうに見えて。笑
あともう一つ、経験と技術を要するのが焼印であります。
焼印に熱を入れ過ぎてしまうと焦げる。熱が入っていないとせんべいにひっついてしまい、オジャン(古い言い方ですね)となってしまいます。
塩梅よく綺麗な焼印のラインが出るようにするのが、この「四季彩せんべい」の最も重要な場面であり、一番集中するところでもあるのです。
今年も納得できる仕上がりとなりました。


