松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



わかみどり

「目に青葉、山ほととぎす、初がつお」




昔むかし、山口素堂はそう詠みましたが、なるほど!と現代に生きている私でも納得できる季節感であると思います。




「目には青葉」




そう言い直すしましたのは、実際にはこう記したほうが本来の意味がわかりやすいから。




「目に優しいのは若芽が芽吹く春」




「耳に心地よいのは時鳥のさえずり」




「食べると最高に美味しいこの時期の鰹」




目、耳、口で感じる季節を三つ挙げるところに素堂のセンスの凄みを感じます。




そう、ちょうど今の時期の若葉はとても緑が美しい。一年で最も優しい色であると私は考えています。




本日ご紹介いたしますのは練り皮(外郎)製の和菓子です。








よくご覧いただかないとわからないかもしれませんが、薄黄色と黄緑色の2色を用意してそれぞれがファジーに溶け合うように仕上げています。




この和菓子の色合いを実際に手に取って目にしていただき、山口素堂の感性に照らし合わせてもらえましたら、つくり手である私の最高の喜びであります。