松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



すりみつ

「すりみつ」ってご存知でしょうか?




「すりみつ」は漢字で「擦り蜜」と書きます。




漢字が示す通り、蜜を擦って真っ白に仕上げます。




よくお煎餅の表面に真っ白な蜜がパラパラと付いていますよね?それが「すりみつ」と言われるものなのです。




和菓子業界でもやはりお煎餅の表面にハケでパラパラとバラ引きする事に使ったり、あん玉の表面にコーティングをかけて所謂「松露」という和菓子に仕上げたりというのが定番の使い方ではなかろうかと思います。




私の修行先である京都末富でも同じようにお煎餅や松露用として大量につくっていました。




私も末富で習ったものを忠実にと気をつけながら今でもつくり続けています。




つくり方はお砂糖と水を銅鍋で煮立てて冷まします。しっかり冷めたら綿棒でしっかり擦ります。一度固くなりますが、もう少し擦り続けていくと滑らかな純白の「すりみつ」が完成します。












つくる際の一番重要な事は火を止めるタイミング。このタイミングが非常に難しく、回数を重ねてしっかりと身につけないとなかなか再現性というものは保たれません。




簡単につくり方の手順を書きましたが、とてもデリケートでその上手間と時間が非常にかかるものです。




今回も素晴らしい「すりみつ」が完成しました。




この「すりみつ」は松屋長春では「波の華」という菓子に使います。




「波の華」を手に取られた際には是非「すりみつ」にも目を向けてください。




非常に手間がかかる和菓子です。ですので私にとっては余計に思い入れが強い和菓子でもあるのです。