松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



栗の季節の到来です

「栗しぐれ」と銘打った和菓子がお店に並びました。




今年も栗の季節の到来です。




しぐれ(時雨)という和菓子の生地は卵をたっぷりと含んだもので、鼻に抜ける卵の風味が持ち味。




このような生地の和菓子にはこしあんが非常にマッチします。




口当たりから口溶けまでの流れがスムーズに感じていただけるよう考えながら仕上げております。




「栗しぐれ」と銘打ってはおりますが、それは形のみの表現でして。栗は実際には入っておりませんので悪しからず。




写真の「栗しぐれ」はこれで完成とはなっておらず、この後焼きごてで焼成して出来上がりとなります。




蒸し上がりのふっくら、ふんわりしたホクホクの瞬間を急いで写真に収めた次第です。





友よ

すすきの焼印を施した羽二重餅製の和菓子、本日より販売を開始いたします。








松屋長春の代表菓「羽二重餅」と同じく、丹波大納言小豆の粒あんを用いております。




秋の七草の一つ、すすきが風に吹かれて揺れる景色を思い浮かべながらお召し上がりいただけましたら嬉しいです。




話は変わりますが、「風に吹かれて」はボブディランの代表曲でもあります。




反戦、人権、平和、自由を哲学的な歌詞にのせて歌うのですが、その歌詞がとても心にずっしりと響きます。




「友よ、答えは風に舞っている。答えは風の中に舞っているんだ。」




なんてステキな歌詞なんだろう!




特に「友よ」ってところに私はジンジンきます。「友よ」を抜いてしまうとやっぱりこの歌詞は不完全なものになってしまうんではないかな。




そんな風に考えながらこの曲をいつも聴いています。

a little later

菊の和菓子がもう一つお店に並びました。




ピンクを控えめにした可愛らしい色合いで仕上げております。








合わせるは備中白小豆こしあん。




野菜豆ではない、白小豆しか出せないふくよかな香りと味わいを感じていただけると思います。




和菓子職人は季節が出すサインを敏感に感じ取り、それを和菓子に落とし込むことを生業としているのですが、ちょっとだけ難しいのは「now(ちょうど今)」ではなく、「a little later(少し先のこと)」を見据えて題材にしないといけない事なのです。




神経をそこに集中しないといけません。