松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



秋から冬にかけて

秋から冬にかけて降る雨の事をしぐれと言います。

一時的に降ったり止んだりする時雨は、晩秋の風物詩ですね。この時期には土砂降りの雨って考えてみると無いですもんね。



時雨製の生菓子、「冬木立」です。

和菓子界て言う時雨とは卵を使って生地をつくり、蒸しあげて仕上げたものを指します。

前回ご紹介しました「冬の山」と同じように雪景色です。

葉を全て落として裏寂しくなった木々を表現した冬木立。これからしばらくの間、販売いたします。

小雪

今日は二十四節気の小雪。

旧暦で言う10月を指すのですが、少し雪がちらほらしてもおかしくない頃という意味合いがこの小雪にはあります。

私はまだ毎日半袖で仕事をしていますが、朝晩などは冷え込む日が多くなり、さすがにそろそろ長袖を着なくてはなどと思案することもしばしばあるようになりました。

地球温暖化が叫ばれている昨今ではありますが、二十四節気とは良く出来ているもので、肌で感じる季節とぴったりの言葉が当てはまるようになっています。

うーん、なるほど。と、合点のいくものばかりです。

昔の人々の知恵はやはり素晴らしいものがあります。一年を12ヶ月に。そして二十四節気は24に一年を分類しています。実はもっと細かいもので七十二候というものがあります。

また七十二候については別の機会にお話できたらと思っています。

さて、話は戻りますが。



あん場が私の主戦場。

サウナのような真夏よりも、小雪から先のこれからが私にとってはちょうど体には優しい季節となります。

だから半袖でも大丈夫なのです。

湯気が心地よく感じるのはこれからです。

父が祖父のもとで和菓子を教わっていた時、あまりに辛くて何度もくじけそうになった事を私は小さな頃から聞いてきました。

仕事が終わって仕事場の裏から星を見上げると、とても綺麗な星空とは裏腹にとても悲しく、情けなくなって涙が頬を伝ったそうです。

私は毎日、配達が無ければ一日中家にこもりっきりです。夕方にゴミを出す際に綺麗な空の写真を撮りました。



久しぶりに見た空のような気がしました。

私はやっと普通の毎日が幸せであるという事が分かってきたように思います。

いつもと変わらぬ毎日。いつもと変わらぬ仕事。いつもと変わらぬ家族。いつもと変わらぬ仕事場の仲間たち。

変化を求めがちになってしまいます。しかし、不変に真の幸せがあるのだと今の私は信じています。

いつもと変わらない事に感謝しないといけません。

そんな事を考えた黄昏どきです。

そろそろ仕事を中断し、夕飯に取り掛かります。これも私の大切な毎日のルーティンの一つです。