松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



今月は琥珀製です。

本日、明日の二日間は稲沢銘菓ベニサザンカの特別販売日です。



今月は琥珀製。

中にベニサザンカの花を入れております。

光に照らされると一層、赤紫色の花が引き立つようです。

両日ともに売り切れ次第終了となります。

お早めのご予約、ご来店をよろしくお願いいたします。

願いの季節

夏は願いの季節。

勝手にイメージして私がそう決めました。

なぜなのかはわかりませんが、願い事と夏は関係が深いように思います。

七夕には笹に願い事を書いた短冊を括り付けます。

また、流れ星に願い事するのも夏。

空気の綺麗な冬の方が夜空がくっきり見えるので流れ星もより見つけやすいのだと思うのですが。

理由はともかくとして、勝手に「夏は願いの季節」といたします。

本日ご紹介の生菓子はこちら。



願いの短冊をランダムに配置し、半円筒型に流し込みました。

冷蔵庫でしっかりと冷やしてからお召し上がりください。

幸せの鱧の棒鮨

人生で2番目に辛い時期が京都の修行時代でした。

この時は慢性的な血尿と歯のぐらつきと円形脱毛症にずっと悩まされていた時代でもありました。

今となってはとても良い経験をさせていただいたと感謝していますし、何より素晴らしい修行仲間が出来て今でもそのお付き合いが変わらず続いている事にとても幸せを感じている次第です。

随分と心が廃れた時でもありましたが、今でも決して忘れない味というものが私の心に鮮やかに残っています。

それが、鱧の棒鮨です。



末富のご主人が祇園祭の時に私に食べさせてくれた鱧の棒鮨。この味は私にとって一生忘れられない幸福の味なのです。

その話を友人である割烹ほそののご主人に話したところ昨日、特別に作ってくれました。



友人たちの前でしたので、涙はなんとか堪えましたが28年ぶりに味わった幸福の味でした。

人生2度目の鱧の棒鮨。

実際にあの時の鱧の棒鮨の味を鮮明に覚えているわけではありません。しかし、あの時口にした幸せの涙を伴う味は絶対に忘れないものです。

末富のご主人の深い愛情を感じた瞬間でもありました。

いつもの厳しい顔が優しい笑顔に変わり「京都の祇園祭には鱧の棒鮨を食べるのが習わしやで。この味を知らな京都の人にはなれへんで」と買って来てくれたのです。

私の人生の中では間違いなくその時の鱧の棒鮨が一番心に沁みました。

人から「人生で一番忘れなれない食事は?」と聞かれたら、躊躇なくこの鱧の棒鮨と答えるでしょう。



割烹ほそののご主人には感謝しかありません。

この日もいつものように多くの美味しい料理をいただきました。

また、彼を支える二人の料理人の友人にも感謝しています。

彼ら三人が織りなすお店の雰囲気と味がお客様の心を捉えて離さないのでしょう。

三人のおかげでかけがえのない思い出が鮮やかに蘇りました。

幸せの鱧の棒鮨。

そろそろ祇園祭の時期に突入いたします。

名古屋から東に向けてはあまり馴染みの無い鱧の棒鮨ですが、こうして名古屋でも食べられるお店は何店かはあります。

私のブログをお読みいただき、ご興味のある方は是非この時期にお召し上がりいただいてはいかがでしょうか。