松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



本日の茶席菓子

本日は国府宮神社にて月に一度の茶会が催されます。



十五夜はすでに過ぎ去っておりますが、ご担当の先生たってのご希望で月とすすきをテーマに、この羽二重餅製の生菓子をつくりました。

先生からお話を聞きましたところ、ちょうどご還暦を迎えられたそうで、ご来席のお客様にわからないようにこそっと自分を祝う気持ちで、備中白小豆こしあんを紅色に染めて欲しいとの事でした。

私がここで詳しく書いてしまいましたが、茶会へお出かけされる方、今しばらく先生には内緒でお願いいたします。

この茶席菓子、お店でも販売いたします。ご購入ご希望のお客様におかれましては、店頭にてお尋ねいただけましたらと思います。

小さい秋みいつけた

「だれかさんが だれかさんが

だれかさんが みつけた

ちいさい あき ちいさい あき

ちいさい あき みつけた

めかくしおにさん ての なるほうへ

すましたおみみに かすかにしみた

よんでる くちぶえ もずのこえ

ちいさい あき ちいさい あき

ちいさい あき みいつけた」

誰もが知っている童謡、「ちいさい秋みつけた」の1番の歌詞です。

知っているつもりで歌おうと思ったのですが、メロディは浮かんでも歌詞がなかなか出てきません。

小さい頃は学校の授業や、NHKの子供番組でよく聴いた覚えがありますし、おばあちゃんや母も歌ってくれていました。

しかし、私は娘たちを寝かしつける時によくNHKのおかあさんといっしょで歌われる歌は歌いましたが、童謡は歌った事があったのだろうか。

故郷の懐かしい風景が失われつつある昨今ですが、優しい記憶として覚えている童謡などもこの先消えゆく存在となりつつあるのかなぁなどと、少し寂しい気持ちになりました。



本日ご紹介するこなし製の生菓子「小さな秋」の写真を撮りながらそんな事を考えていました。

ちいさい あき みいつけた

何度聴いてもいいフレーズですよね。

かのこ

栗かの子



秋の味覚、栗をふんだんに使って仕上げています。

中は備中白小豆のこしあん。

あっさりしたこしあんと栗だけでつくっているので、素材そのものの味や特長をダイレクトに感じていただけると思います。

かのこは漢字で書きますと「鹿の子」となります。

鹿の子斑(かのこまだら)といい、鹿の子どもの背中のまだら模様のような斑点のある模様全てを鹿の子と呼ぶようになりました。

この「鹿の子」模様は和菓子界ではこの栗かの子や小倉かの子、また当店では薯蕷製の蒸し菓子にも使ったりします。

他の業界では絞り染めの鹿の子絞りや霜降りのクジラ肉も特別に鹿の子と呼んだりします。

面白いですね。

私が一つ疑問にあるのは、鹿の子という着ると涼しく感じるような粗い編み地のポロシャツがありますよね。

あのポロシャツはまだら模様でもないのにどうして鹿の子生地と言うのでしょうか。

服飾業界に詳しい方に尋ねてみたいものです。