松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



おふくろの味

「おふくろの味」




よく聞く言葉です。




思いめぐらせてみますと、私の中の「おふくろの味」は間違いなく焼き餃子です。




父にとっては「奥さまの味」となるでしょうが、やっぱり一番の好物は母がつくった焼き餃子なんですね。




今夜は久しぶりに母が仕事終えてから焼き餃子をつくってくれました。












まいにち料理をつくる私ですが、この餃子の日だけは全く手伝いもしません。餃子を包んでいるのを横から眺めているだけであります。




今日は長女が母のお手伝いをしてくれました。








久方ぶりの「おふくろの味」はやっぱり最高でした。

からころも

毎年この頃になりますと唐衣という生菓子をつくります。








この和菓子は在原業平が詠んだ句に由来するものです。




在原業平は友人と連れ立って愛知県の知立市まで赴きました。その際に咲いていたカキツバタの近くでこの句を詠みました。




唐衣




着つつなれにし




つましあれば




はるばる来ぬる




旅をしぞ思ふ




意味は、毎日のように着て馴染んだ唐衣のように、当然のように毎日隣にいてくれる妻のことを思う。はるばる遠くへ来てしまったものだなぁ。




そんな意味合いです。妻の事を詠んだものですが、この句の一行ずつの頭の一文字ずつを拾っていきますと、「か、き、つ、は、た」そうなります。




この句を詠んだ季節を暗に示したかったのでしょう。




深い意味合いがあり、この句を後世まで残す名句へと昇華させました。




長くなりましたが、よって唐衣はカキツバタを指すものとなったのです。




この唐衣、京都の修行時代にご主人から幾度となくこの菓子の意味を教え込まれた思い出深き和菓子です。




私はこの唐衣を長く担当していたため、余計に思い入れがあるものであります。




在原業平が妻を思ったように、私はこの和菓子を手掛ける頃になると、京都時代を懐かしく思います。




桜の季節にサヨナラを告げたあと。ちょうどこの季節は私にとって思い出深い季節です。

ゴキゲン

長女が家に戻ってきて、初めて娘三人が全員揃いました。












次女は仕事、三女は大学とアルバイト、なかなか揃わなくなってきたのも仕方ありません。




久しぶりに父ちゃんご満悦です。




タイビールで乾杯。