松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
母と夏まつり
「夏まつり」と銘打ってお店に並べた葛製の蒸し菓子です。

できるだけ華やかに、できるだけワクワク!ウキウキ!した感じが表に出るように思案してデザインしたつもりです。
松屋長春の夏の和菓子の定番商品でもありますが、今年は長女のアイデアを組み込み、頂に配したあられの色を三色で表現することにいたしました。
より艶やかに出来上がったと満足しているところです。
長女よ、ステキな提案をありがとう。
私には「夏まつり」の思い出があります。
幼少期の私は、なかなか「夏まつり」の屋台でフランクフルトやフライドポテト、たこ焼きやボンボンアイスなど、食べたいものを母が買って食べさせてくれませんでした。
背がとても小さくてか細い弟二人とは違って、背も高くがっしりぽっちゃり体型で育ってきた私だけはなかなか屋台のご馳走というものは回ってはきやしないものでありました。
弟たちには一生懸命食べさせる。私の分は極力抑える。
それが幼い私にとっては、とても不条理に感じ不平等にも感じて、いつもひねくれていました。
それが、ずーっと長く続いていましたが。。。
大人になった今となっては母の気遣い、息子三人に対するそれぞれの愛情の使い方がやっとわかって、母に対する感謝の気持ちを持ちながらあの辛い思い出を思い返しているところです。
ひさご
ひさごは「瓢」と少し難しい漢字で書きます。
ユウガオなどのウリ科の植物の総称であります。
本日ご紹介の和菓子は「青ひさご」

薯蕷製の蒸し菓子、備中白小豆こしあんで仕上げてあります。
涼しげに感じていただけるように緑色のツルをあしらい、菓子の頂を平鍋で焼き上げて完成です。
この菓子をご案内するにあたって、瓢について調べてみたところ、原産地は北アフリカだそうな。
しかし、日本でも源氏物語に登場するほど古くから身近にあったものとして認知されており、どうやって日本へと伝来したのかは不明だそうです。
私の想像では人を介して伝来したのではなく、渡り鳥のフンなどが元で伝わってきたのではないか。そんな風に思いめぐらせました。
考えること、想像することって楽しい。