松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



ホンモノ

今日は「わらび餅」にまつわる、少し興味深いお話をさせていただきます。あまりご存知の方はいらっしゃらないかもしれません。




随分前のことになりますが、お茶席を担当される先生から「本蕨粉(ほんわらびこ)を分けてくださいませんか?」とのご依頼がありました。




松屋長春のわらび餅が本蕨100%であることを先生がご存知だったのかは分かりません。ただ、そうお願いされたのです。わらび餅は全国的に人気がありますが、ホンモノの本蕨粉を使っているところは実はそう多くないのかもしれません。




「どうしてご必要なのですか?」とお尋ねすると、先生はこう仰いました。




「私は扇子づくりを生業としています。本蕨は扇子の骨と紙を接着する糊として使うのです。」




ものすごく驚いたのは言うまでもありません。




わらび粉は和菓子にしか使わないものだと、勝手に思い込んでいたからです。




先生はさらに続けて、「扇子だけでなく、日本人形の胴体の部分などにも接着剤として使いますよ。」と教えてくださいました。




日本の伝統工芸品は現代の便利な接着剤に頼るのではなく、昔ながらの“ホンモノ”を使い続けています。その事実を知り、なんとも言えない嬉しさを覚えた次第であります。




松屋長春の「わらび餅」、本日も出来上がってお店に並びました。