松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
清少納言と夕暮れ
「秋は夕暮れ」
清少納言がそう言ったように秋という季節は、やはり夕暮れどきに魅力を感じます。
たそがれてくると地平線が次第に紅く染まり、それが燃えたぎる火のようにゆらゆらと揺れるさまは、言葉を失ってしまうほどの美しさがあります。
本日より「SUNSET」(サンセット)と銘打ってお店に並べた新作です。

清少納言は春は明け方がよいとも語っています。
やうやう白くなりゆく(だんだん白々としてくる)と続けて書いているのですが、秋の夕陽がゆっくりと沈んで静かに紅く辺りを染めてゆく様子もやはり、(やうやう朱くなりゆく)と私はそう続けたくなります。
海と空のファジーな境界線、そしてあかね色の空の様子がしっかりとこの和菓子で表現できたのではないかと自分なりに納得しているところです。
ゆらゆらと静かに燃える姿を金箔と銀箔で表現しました。
写真でよりも実際に目にしていただきたい和菓子であります。