松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



心はまあるく、お菓子は三角に

花こよみと名付けました。



軽羹の生地をのばして蒸し上げ、三角に畳んだ生菓子です。

中は備中白小豆の粒あん。紅に染めて春色に、キラキラに仕上げました。

春の雰囲気をこの花こよみにギュッと詰め込んだつもりです。

目を三角にするという言葉がありますが、怒りの時間など出来るだけ少なくありたいのは私だけではないはずです。

和菓子は三角でも心は常にまあるく。

イライラは自分にとっても相手にとってもいいものではありません。笑顔が一番です。
今日も素敵だったと思えるように。今日がそんな日であったなら、明日もそんな日になるように。そうして明日以降の毎日がいい日で終われるように。

コツコツと積み重ねです。

さあ、素晴らしい一日のはじまりです。鼻歌交じりでまいりましょう!

シンプルに

羽二重餅の生地で丹波春日大納言小豆の粒あんを包あんして、山型に成形したシンプルな生菓子をつくりました。



頂にわらびの焼印をジュッと押し、仕上げています。

余分なものを一切排除したものは、ささやかで控えめであるが故に派手さなどは全くもってございません。

しかし、質素なものこそ本来持っているそのものの良さがじわじわと滲み出てくるのではないかと私は考えています。

足らないもの、知り得ないものを受け手の想像力で補う。

そんな楽しみ、喜びがシンプルなものには詰まっているのではないでしょうか。

私がなぜ山型に成形したのか、なぜ蕨の焼印を施したのか。そんな事を思い巡らせ手にとっていただけましたらとても嬉しく思います。

シンプル イズ ベスト。

桜の葉って食べるの?食べないの?

本日も桜餅がお店に並びました。



桜餅の桜葉の塩漬けは食べるの?食べないの?

この事に関しては永遠に議論は尽きないのかもしれません。

食べる派、食べない派。真っ二つに意見は別れるかもしれません。

実際にお買い求めいただいていますお客様にお伺いした事はありませんので、統計を取ったわけではないのですが、桜葉はもしかしたらお召し上がりになっている方が多いかもしれません。

私、個人的には桜葉は香りと塩気だけを預けた桜餅だけを食べます。

それで充分に桜葉の役目を果たしていると考えているからです。桜葉は塩漬けしてあり、いわゆるお漬物です。ですので食べても平気なのですが、実際に食べてみますと葉脈の部分がやはり少し口に残る感じがして私にとってはとても気になるものです。

そんな理由から私は食べないのです。

「勿体ない」

そんな気持ちも私は常に持ち合わせているので、少し心苦しいのですが。

葉を全部食べる。葉脈だけ残し、葉の柔らかい部分だけを一緒に食べる。全く食べない。

色々な食べ方があって面白いものです。

全部お召し上がりいただく方のために松屋長春では出来るだけ塩気を抜くように気をつけております。

桜餅は春先までの生菓子です。桜葉の事にも色々と思いを巡らせながらお召し上がりいただけましたらとても嬉しく思います。