松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
悲しみの向こうに
18分ばかりの短い映画の中に、主人公の揺れ動く心情が上手く描写されている素晴らしい物語がありました。
映画「彼方に」

あっという間に無差別殺人で娘と妻を失ってしまった主人公。
エリートサラリーマンであった主人公が、タクシードライバーに転身して傷心の毎日を送るのだが。。
ある日、かつての自分の家族に重なるような乗客を乗せるところから物語は一気に動いていく。。。
悲しみ、苦しみ、喪失感。
色んな感情が入り交じり、その先に主人公は何を見たのだろうか。
私は三人の娘の父親であります。
この映画に自分自身を投影しながら観たのですが、もし突然娘たちを失ってしまったら、自分は果たして正気を保っていられるのだろうかと考えてしまいました。
人は大切なものを失った時、その悲しみから逃れることはできません。
けれども、その悲しみを抱えたままでも生きていかなければならない。
主人公が乗客との出会いを通じて少しずつ変化していく姿は、とても静かでありながら胸に迫るものがありました。
たった18分の作品ですが、1本の長編映画を観終えたような余韻が残ります。
派手な演出もありません。
大きな奇跡も起きません。
それでも、人と人とのささやかな繋がりが、凍りついた心を少しだけ溶かしてくれることがある。
そんな希望を感じさせてくれる作品でした。
恥ずかしながら私は、久しぶりに声をだしてむせび泣いてしまいました。
近頃わたしはショートフィルム、いわゆる短編映画に執心しております。




