松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
くず
本葛製の生菓子は現在、三種ご用意がございます。
「葛焼き」
「くず桜」
「夏まつり」

葛は昔から薬用としても用いられてきました。
秋の七草の一つに数えられるところも忘れてはなりません。
本葛には冷やすと硬化が始まり、白濁するという大きな欠点というものがあります。
ひんやり美味しく食べるには冷蔵庫に入れる時間を30分程度までとしたいところです。
白濁せず、硬化しないものは本葛ではありませんので、お客様ご自身の見分け方としては冷蔵庫に入れるのが一番手っ取り早いのかもしれませんね。
引き出しの奥の奥に忘れ去られていたガラス製の器を父が出してきました。
本日はその器の上に盛り付けて写真を撮りました。
綺麗でお気に入りとなったところです。
器よ、ずっと忘れていてごめんよ。
生きてるなぁ〜
「生きてるなぁ~~」
そう実感できる時。
私の場合は人間が生きるために絶対必要である事に行き着いてしまいます。
それは食べること!!
なんだか全く夢が無いようで申し訳ございません。
小さい頃しょっちゅう銭湯に行っていましたが、脱衣所でおじさまたちが風呂上がりにコーヒー牛乳やフルーツ牛乳を飲んで
「ああ~~生きてるなぁ~」
などという言葉を発しているのをよく聞きましたが、それと私の言っている感覚とは随分違うものであります。
最も幸せに感じるのは毎日の夕食の時間。
仕事に追われている朝食時や昼食時などでは味わえないような、夕食には仕事をやっと終えられた達成感というものが付いてきてくれるからです。
今夜は久しぶりに母がお手製の餃子をつくってくれました。


「何よりもこの餃子が俺は好きなんだ!」
父がそう言っているのを横の椅子で座りながら聞いて、とってもいい気持ちに包まれました。
家族の誰かが心を込めてつくった夕食、自分が一生懸命つくった夕食、家族の誰かが一番の好物を家族みんなで食べる夕食、大したおかずが揃わなかった夕食。
なんでもいいのです。
達成感と安堵感に浸りながらの笑顔の夕食が幸せなのであります。
私は家を出て、ちょうど五年後に松屋長春へ戻りましたが、いつも幸せに感じていたあの時間を取り戻すのに随分時間がかかりました。
外に出て色々なことを勉強して帰ってきましたが、一番大切だと今感じていることを長い間失ってしまっていたのです。
私が家に戻ってきてそろそろ30年くらいになります。
戻ってきたばかりの娘には私が長期に渡って感じて学んだことを、私よりも早く気づいて欲しいと思っているところです。
「素晴らしい時間をつくるのは自分次第」
両親からそれをしっかり教わりました。次は娘の番であります。





