松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



神宿る山。そして神宿る川。

昨日はいつも私とマイナスイオンを浴びてくれる友人、壺中天のシェフと一緒に釣りに行ってきました。



神通川の最上流部。

ここはいつ訪れても気持ちいいところです。

川の水も高い気温とは裏腹にとても冷たく、ひんやりしています。

石造りの橋脚跡も何故か神聖な雰囲気を醸し出しています。

友人は前回はカモシカにも遭遇したようで、大自然が神々しくもある場所です。

今回は少し水位も高かったのでお目当ての魚には恵まれませんでした。

次に向かったのは世界遺産でも有名な白川郷の二箇所。



インターチェンジすぐ近くのダム湖。

そして

別のダム湖のバックウォーター。

どこも素晴らしい景色と澄み渡る川の水。

心と身体が久しぶりに山と川にシンクロしたようで気持ちが真っ直ぐに整いました。

名もなき花さえも美しくこの目にうつります。

富山県と岐阜県の山と川はそんな神宿る場所なんです。

神さまの手のひらでゆったりと横にならせてもらっている感覚なのです。

涼風

おはようございます。

このところ30度を超える暑い日が続いております。梅雨入りしたはずなのに、それほど雨も降らず盛夏に突入してしまったような感覚になってしまいます。

異常気象なのかここ数年、このように感じるのは私だけでありましょうか。

今年こそは丹波大納言小豆や備中白小豆が豊作となるよう、ただただ祈るばかりです。

本日ご紹介いたしますのは涼風と名付けた羽二重餅製の生菓子です。



中は丹波大納言小豆の粒あん。

少しでも涼しくあって欲しいと願う和菓子です。

星の光

昨日に引き続き、レモンの生菓子のご紹介です。



頂に金のお星様をあしらった葛製の蒸し菓子です。

中心にはこしあん。そしてレモン果汁たっぷり含んだ備中白小豆こしあん。外には葛と三つの層を成して出来上がっております。

毎年書いているかもしれませんが、レモンと言えば高村光太郎の智恵子抄。

哀しみとレモンの瑞々しさや爽やかさとがとても上手にマッチした作品となっています。

私がとても大好きな詩。この詩を思い浮かべながら毎年レモンの生菓子を私は作るのです。

ここに添付しておきます。

そんなにもあなたはレモンを待つてゐた

かなしく白くあかるい死の床で

私の手からとつた一つのレモンを

あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ

トパアズいろの香気が立つ

その数滴の天のものなるレモンの汁は

ぱつとあなたの意識を正常にした

あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ

わたしの手を握るあなたの力の健康さよ

あなたの咽喉に嵐はあるが

かういふ命の瀬戸ぎはに

智恵子はもとの智恵子となり

生涯の愛を一瞬にかたむけた

それからひと時

昔山巓でしたやうな深呼吸を一つして

あなたの機関ははそれなり止まつた

写真の前に挿した桜の花かげに

すずしく光るレモンを今日も置かう