松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



ブランカとギター弾き

映画

ブランカとギター弾き



フィリピンのスラム街で親も無く育った主人公ブランカ。ひょんなことから盲目のギター弾きのおじいさんと生活を共にするようになり。。。

例え家族がいなくても家族のように一緒にいられる人がいてくれるだけで、それだけで満足。他は何もいらない。

お互いを信頼し、大切に。

心打たれて本気で泣きました。

貧乏この上なく、心まで荒んでしまった主人公が次第に人間を取り戻していく様が温かい視線で上手に描写されていました。

この映画を深く調べたところ、二つの驚きがありました。

一つは監督が日本人であったこと。

この優しい描写は日本人ならではのものであったのかもしれません。今までもスラム街を舞台にした映画は数多くありましたが、こんなにハートフルで愛に包まれた映画は無かったでしょう。

そしてもう一つは主人公ブランカ以外のほとんどのキャストは実際にスラム街の住人を毎日足を運んで選定したということ。

脇を固めるギター弾きの老人、ピーターも。またストリートチルドレンの男の子二人も監督自らスラム街一生懸命ぴったりはまる役どころを探したそうです。

撮影された場所にも出演者たちにも真実味があり、余計に映画自体がリアルになって引き締まったのだと思います。

私が常日頃から目指している、心から寄り添うこと。それを今一度この映画から教えてもらった気がします。

主人公ブランカが映画の最後に目に一杯の涙を浮かべた姿がいつまでも私の心に留まって離れません。

素晴らしいキャスト、素晴らしいストーリー。フィリピン映画に新たな名作を見つけました。

追記

盲目のギター弾き、ピーターはこの映画がベネチア映画祭で上映される数日前に亡くなったそうです。

彼もこの映画から幸せをもらった一人だったのではないでしょうか。

合掌