松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



人それぞれ

紅葉の秋。錦秋の頃が過ぎ行きますと、和菓子は一気に落ち着いた装いになります。

和菓子の題材になるものに派手目なものが無いというのもありますが、使う食材もモノトーンのものが目立って多くなってくる事もその理由の一つとして挙げられるのかもしれません。

12月はそんなシックで大人びた和菓子がお店に並んでいます。

しかし、お正月になりますとそれが嘘であったかのようにキラキラしたきらびやかで華やかな和菓子が彩り豊かにお店を飾るようになります。

ちょうど現在はそのお正月の和菓子の材料が全て無くなり、はざまの時期を迎えております。

昨日ご紹介した紅白で金箔を施したような綺麗な色合いの和菓子も続けてつくっておりますが、それらの和菓子とは対極に位置するような落ち着いた和菓子もポツポツと並ぶようになっています。



黒糖あんを使った「大島きんとん」です。

芽吹きの季節を思わせる色合いで仕上げました。

黒糖のあんはやはりその深い味わいが一番の特徴ではないかと考えています。

黒糖のあんの味わいの捉え方は人それぞれ。

父と私でも感じ方に随分違いがあったりするところが、とても興味深く面白いものであります。

ご家族それぞれでお召し上がりになり、感じ方を話し合うのも一興であるかと思います。

話は大きく変わってしまいますが、私が好む服は若い頃から明るいビビットカラーのような発色の良いものが多いです。

しかし、歳を重ねた近頃は落ち着いた黒や紺やベージュのようなシックなものを半分くらいは選ぶようになっています。

色に対しての好みや捉え方、そして自分の信念や考え方などは時とともに移りゆくものなのですね。

だから人生は捨てたものではないし、面白いものなのです。

生きるって楽しい!そんな風に感じながらこれからも生きていけたらいいな。