松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



ふくらんだ鼻の穴

クリスマスだけに限らず正月、ゴールデンウィーク、お盆など周りの友達が家族で楽しんでいる時に限って、私の家はちょうど繁忙期を迎え、家族団欒を捨て去って夜遅くまで仕事をしていました。




いつの頃からかは忘れてしまいましたが、幸せいっぱい笑顔満点の友人たちを羨む事が無くなり、うちはこんなものだといい意味で納得するようになりました。




それはほんのちょっとであったけれど、自分にとってはとても大きな幸せを両親からもらったからに違いありません。




思い返してみると、よくあんな事をしてくれたものだと思いますが、時間の無い中で私の友人たちを家に呼んでクリスマス会を2度ほど開いてくれました。たった2回ですが。




その時、母が料理をつくってくれ、仕事人間だった父が友人たちと私たち兄弟にパフェをつくって食べさせてくれました。




友人たちに向けて自慢げに鼻を膨らませていた小学生だった頃の自身を思うと、とても恥ずかしくもありますが、幸せだったなぁなどとあらためて感じます。




クリスマス当日には、その時サンタさんだと信じてやまなかった父ちゃんサンタさんからの直筆の手紙と希望通りのプレゼントが枕元に置いてあり、「みんなとおんなじ!自分たちのところにもちゃんとサンタさんが今年も来てくれた。」と弟たちと喜んだものです。




私にとって自慢の両親だったのは、今でも全く変わりがありません。




いつしか私も三人の娘の父親となり、父や母がしてくれた事と全く同じことをなぞるようにしてきました。




実際にクリスマスイブの夜遅くに仕事が終わってから、三人分の手紙を書くのはとても大変でしたが、何故かふんわりとした優しい気持ちに包まれていたように思います。




三人三様、それぞれにサンタさんからの優しいメッセージと父である私のたっぷりの愛情をのせて書く手紙は、ユーモアを含みながらも娘たちへの一生懸命な心がしっかりと乗っかったものでありました。




「身勝手な生き方でなく、しっかりと私たち息子三人に向き合ってくれた両親同様に、私も娘たちに恥ずかしくないように、これからもまっとうな人生を送りたい。」




あらためてそう決意したところです。




時間に余裕がなくても、家族のピースのかけらが他の家庭より足りなくても、幸せの杯は誰でも溢れるほど一杯にできるものです。








メリークリスマス。