松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



私の考え

ある本を読んでいたら「わかる」ことと「できる」ことは全く別物である、そう書いてありました。

読み進めてみると、なるほど。

理科の実験になぞらえてみますと、授業で実験の順序を習い、そして実際に実験してみる。勉強して知ることと、実際にやってみて知ったことは大きく違いがある事がわかります。

私たちは今、知るための情報源に溢れています。本やテレビに加えてインターネットの普及が情報の流通を飛躍的に向上させたことは言うまでもありません。

知りたければネットに頼る!私の中でもインターネットが多くを占めるようになってきました。

しかし、知りたい欲求を満たして「わかる」事ができてもその先は実際に経験して「できる」が無ければ深く掘り下げられずに終わってしまいます。

こうした簡単な「わかる」はその時こそ、はいはい!わかりました!と合点しても自分の中に浅くとどまるだけでいつまでも残らないものです。いつの間にか忘れてしまうものです。

経験を踏んでやっと自分の中にいつまでも深い記憶として残るものなのです。

和三盆糖の干菓子である打物を打ちました。



松屋長春オリジナルの型「衣かけの松」です。



和菓子職人としてかけだしの頃、こういった干菓子を打つこともままならなかった私は、先輩職人から打ち方を伝え聞き、実際に経験を重ねて現在に至ります。

「わかる」から「できる」へと変化して、しっかり私の技術として身に付きました。

私が読んだ本にはこの2点が書いてあっただけですが、私はこの先の「気付く」がとても大切であると考えています。

人に教えてもらい理解し、実際にやってみて覚える。その繰り返しの中に「気付く」があり、工夫する事によってより進化していくのです。

気付きがなければ進歩は望めません。

この「気付く」によって松屋長春の干菓子はとても素晴らしい商品としてお客様にご提供できているのだと思います。

私は毎日仕事をする中で多くの「気付く」があります。

その「気付く」は両親たちも、また娘夫婦たちも同じように持っています。

お互いの「気付く」をかき集めて、できるだけより良いものへと昇華させなければなりません。

また、進化や進歩はここで終わり!というものがないものです。

松屋長春として昨日よりも良いパフォーマンスをお客様にお見せできたらと考えています。

そのためにいつも感度の良い「気付く」というアンテナを張り巡らせておかなければなりません。