松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



わらびもちの続き

わらびもちの続きです。


この写真はわらび粉本来の色です。きな粉に隠れてしまっているので、わらびもちの色は分かりにくいものです。
わらびもちはきな粉との相性が抜群。いつの頃からかわらび粉を砂糖と混ぜ合わせ練り上げたのち、包あんしてきな粉をかけて食べるようになりました。
相性が抜群なのですが、きな粉には欠点もあります。それは吸湿性が非常に高い事です。

気温が次第に上がってくると湿気も同時に帯びてくるようになります。そんな季節に差し掛かってきますときな粉がすぐに湿ってしまい、サラッと美味しく食べられなくなってきます。
そんな理由があり夏場によく食べる葛と違い、涼しい時期にわらびもちはつくられるのです。暑い時期には水分を吸い取ってしまうきな粉を口には入れ辛くなりますもんね。

科学の進んだ現在では、湿らないきな粉やゲル化剤などをわらび粉に混ぜるといつまでたってもかたくならないような補助的な材料も出回っております。

しかし本わらび粉というものは他に雑味が無い分、スッキリと食べられる代わりに翌日にもなりますと随分硬化が進んでしまいます。

また、湿らないきな粉もきな粉本来の香りや味とは程遠くなってしまい、元々私達が普通に食してきた食べ物とは大きく違ったものになってきてしまっています。
化学調味料に慣れてしまった現代では昔からあった本来の味覚を失いつつあると思います。何故、こんなに日持ちがするのだろう?何故甘みがこんなに抑えているのだろう?

日々いろんな疑問を持ちながら食に対して付き合っていかなければならないと痛感しております。
和菓子も当日つくったものは当日中に消費いただく。これが和菓子も本来持つべき姿だと思います。