松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



枕草子

軽羹製の蒸し菓子がお店に並びました。








「花こよみ」と銘打ちました。







伊勢芋たっぷり、軽いタッチの軽羹製の生地に備中白小豆粒あんを薄紅色に染め上げ、春を存分に感じていただけるよう仕上げています。




暦の読み方は様々ありますが、花で暦を辿るのも趣深いものであります。




春には春の優しいメロディアスなリズムがあり、春には春だけのウキウキさせてくれるような優しい色合いがあります。




これは、他の季節には絶対にない春だけが持つ自然のマジックなのです。




枕草子では「春はあけぼの」といいますが、近くに山もない濃尾平野に住む私です。




春の朝ぼらけの時間の良さはさほど感じられません。




今、私が枕草子を書き上げるならば、「春は昼下がり」と例えるでしょう。




あたたかな昼下がりに畑を見渡せば、モンシロチョウが舞い踊り、また木曽三川へと赴けばウグイスの鳴く声がどこからともなく聞こえる。




そんな時間がとても私は好きです。




昼下がりの川のせせらぐ音もどこか軽快に聞こえるものです。




春っていいな、あらためてそう思う今日この頃です。