松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



ふたたび

ついこの間、満開少し前の夜桜をみにいった一宮市の大江の川のほとりへ足を運び、夜の桜に会いに行ってきました。








あれほど闇夜のなか、美しく白く光っていた桜花たちはほとんど風に舞い散ってしまい、とても楽しみにしていた大江川の川面に浮かぶ花筏までもが終焉を迎えてしまっていました。




当然、満開の桜を愛でていた人々も一人残らず消え去り、いつもの寂しい夜道だけが変わらずそこにぽつんと残るだけとなっていたのが私の目にとても寂しく映りました。




あの時と同じ場所、同じアングルで夜の桜を愛おしさ一杯の気持ちで撮ったつもりです。












どうでしょうか?桜花を少しだけ残しながらも、桜葉が隆盛を極める姿は?




命を繋ぐ、生命の極みを感じませんでしょうか?




みずみずしい葉桜の美しさが私には強く印象に残りました。




実は桜花が散った夜の桜をしっかりとみたのは今回が初めての事であります。




夜風に音をたてる葉桜のあまりの美しさに心を奪われた次第です。




栄枯盛衰とは人が勝手に決めたものであり、桜が満開の時が「栄」や「盛」だとは限らない。今回、心底そう感じました。




人はどうしても一般的にこれが美しい!と言われるものに傾きがちであります。




しかし、「本質はそこだけにあらず」だと思います。




風に揺らぐ若緑色の葉桜は初夏の到来を感じさせてくれるもので、ただ実直に素敵だと思えるものでありました。




この文を読んで下さっている皆さまからは、私が物事を斜に構えていると捉えられてしまうかもしれませんが、私はそんな人間です。




しかし、常に自分の感性の赴くまま、素晴らしいものは声を大にして「素晴らしい!」と自信を持って言える人間でいたいと思っています。




誰も目を向けない夜の葉桜との対話が私に新しいトキメキを与えてくれました。