松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



かくりゅう

本日は大相撲の横綱、鶴竜関の事を書かせてください。








先日、引退された鶴竜は私が大好きだったお相撲さんでした。




「人相はその人の心が表れる」




優しくて温厚、まじめで努力家。




大横綱なのに(番付が下の力士が普通ならばやらなければならない仕事なのに)、土俵をつくるお手伝いや部屋へ配達にくる郵便屋さんへのサインも進んでしていたそうです。




横綱、大乃国(現在の芝田山親方)は力士全体の健康診断の時でも、千代の富士や北の湖のように我れ先にどけどけ!ではなく、番付が下の力士の後ろに順番を守って並んでいたそうですが、鶴竜関も大乃国の同じ匂いのする穏やかさが印象的な力士でした。




彼はここ五場所連続休場をしていましたが、それには泣ける理由がありました。




日本国籍を取得するのに日数が足りなかったのです。




親方になる条件には日本国籍取得が必要で、身体がボロボロになっていても日数が足らなかったために引退が出来なかったのです。




外国人というだけで、品行方正であっても日本人になるのに大きな、とても高い壁があることに、やるせなさを覚える私です。




モンゴル人であっても日本に残り、後進の指導に尽力したいと願う人に、なんと越える壁の高いことでしょうか。




外国人の方たち、最近よく話題に上がる同性愛者の方たち、また障害を持つ方々など、日本で暮らす上でまだまだ高い壁を感じていらっしゃる人々が多く存在すると感じています。




私は様々な人が暮らしやすいと感じられるような日本にこれからどんどん進んでいってもらいたい。そう強く望みます。




「鶴竜さん、本当におつかれさまでした。日本っていいところですよね?だから日本に残りたいってそう思ってくれたんでしょう?しばらくは身体を休めて、そのあとは立派な力士を育てられるよう一生懸命がんばってください。私はいつまでもあなたを応援しています。」




少しやんちゃだった朝青龍に似た匂いのする白鵬もそろそろ現役終盤を迎えています。




大相撲は曙や武蔵丸が隆盛を誇ったハワイ時代が過ぎ去り、そろそろモンゴルの時代も終わるやもしれません。




どうなるんでしょう、これからの大相撲は。

勲章

仕事が終わってお風呂に入ったところです。




私のアップの写真、お見苦しくて申し訳ございません。








一昨日、あんを炊いていたところマグマのように飛び散った熱々のあんがおでこにつきました。




「あつっ!」と言って、すぐに付いたあんを手で拭いさるのですが、あんが取れたと同時にその部分の皮も一緒にペロっと剥がれてしまいます。




そして、今日は左頬に大きなマグマが飛んできました。








今日のはひどい。。。ひどかった。




ぬるめにかけたシャワーが熱湯のように感じました。




ツッパる事が男の勲章なんて歌が昔流行りましたが、火傷は私の一つの勲章でもあるかもしれません。




こんな勲章やだ。




では、おやすみなさい。

枕草子

軽羹製の蒸し菓子がお店に並びました。








「花こよみ」と銘打ちました。







伊勢芋たっぷり、軽いタッチの軽羹製の生地に備中白小豆粒あんを薄紅色に染め上げ、春を存分に感じていただけるよう仕上げています。




暦の読み方は様々ありますが、花で暦を辿るのも趣深いものであります。




春には春の優しいメロディアスなリズムがあり、春には春だけのウキウキさせてくれるような優しい色合いがあります。




これは、他の季節には絶対にない春だけが持つ自然のマジックなのです。




枕草子では「春はあけぼの」といいますが、近くに山もない濃尾平野に住む私です。




春の朝ぼらけの時間の良さはさほど感じられません。




今、私が枕草子を書き上げるならば、「春は昼下がり」と例えるでしょう。




あたたかな昼下がりに畑を見渡せば、モンシロチョウが舞い踊り、また木曽三川へと赴けばウグイスの鳴く声がどこからともなく聞こえる。




そんな時間がとても私は好きです。




昼下がりの川のせせらぐ音もどこか軽快に聞こえるものです。




春っていいな、あらためてそう思う今日この頃です。